この十五年に何が起きたか――
過去を知ることが次の時代を拓く!
論評と年表で解き明かす日本の実像。
『愚かな風―忖度時代の政権とメディア』は、2020年9月分まで、4年間約百篇のメディア時評を月順に並べ、論評のクロニクルから現代日本の実像を解き明かしていきます。
また戦後より今日までの年表「言論表現の自由を巡る動き(39頁)」も収録。
安倍政権末期までの4年間は、それまで以上に政権の権力乱用とメディアへの介入が行われ、報道の自由の危機は一層深まりました。
その推移をクロニクルとして整理し直し、事実(FACT)を忘れないためにも、国民の信頼に足るメディアと政治の関係を想起するためにも、必要となる1冊です。
「一言で言えば「表現の自由の縮減」とも呼べる、この間の変化をもたらしたのはもちろん、政権の打ち出した施策の結果であるが、同時にそれらを一貫して高支持率で支えた国民の意思でもあった。ただし政権と国民の間で、メディア、とりわけ新聞やテレビが果たした役割は小さくない。こうした政権とメディアの関係性を、「見張塔からずっと」(ボブ・ディラン)というタイトルに込め出版したのが前著の経緯だ。(中略)その後の状況は残念ながら改善の兆しがどころか、むしろ大きく悪化したいえるだろう。それは、本書に収めた約百篇からも如実に理解していただけるはずだ。そうしたことから、本書のタイトルは同じくディランの唄から「愚かな風」(Idiot Wind)とした。まさに現在のネットを中心にデマや誹謗中傷が飛び交い、為政者自身が「もう一つの真実」をごり押しする時代を予感したかの一曲だ。(「はじめに」より)」