終戦からおよそ1年半――。
昭和22年3月、田丸と吉敷は「生きて日本に帰る」という約束を果たすべく、壕からの脱走に成功する。
投降――それは数多の苦難を共に乗り越え、生死を共にしてきた仲間の敵になるということ。
では仲間にとって≪正しい≫行動とは何か。
全体を危険から遠ざけるための規律か。
全員を救うための危うさをはらんだ勇気か。
指揮官として命がかかる決断を迫られる島田。
混乱の中、島に銃声が響く――。
生き残った兵士それぞれに、ゆずれない正義がある。
本当の終戦をもたらすため、想いを繋いだ若者の生還の記録。
2021年1月刊