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  • 著者ジェラルド・ドーソン 山元隆春 中井悠加
  • 出版社新評論
  • ISBN9784794811714
  • 発行2021年1月

読む文化をハックする / 読むことを嫌いにする国語の授業に意味があるのか?

いますべての教室が読むことが好きな生徒で満たされているなら本書の存在理由はありません。しかし、残念なことに読むことが好きな生徒だけで満たされた教室を見出すのはとても難しいのです。これは日本でも米国でも同じです。
本書原著の副題を直訳すれば「教室を読書家の文化(a culture of readers)に変える五つの方法」となります。教室が「読書家の文化」となるのを阻んでいるのは何か。著者のドーソンさんは、①教師が教科書をカバーすることばかり気にかけていること、②教師が文章に対する生徒一人ひとりの反応に目を向けていないこと、③教室での話し合いや様々な情報源から集めた事実や考えをコピーする力ばかりを重視していること、をあげています。本書は、教師がこのような事態を「ハックする」(修繕する)ことによって教室が、読むことの好きな生徒に満ちた「読む文化」になると主張しています。
 生徒たちが自分の好きなことに熱中するのは「当たり前」ですが、教科書教材に読むことは生徒の皆にとって「当たり前」ではありません。皆が読むことを好きになるには、つまり教室を読むことが当たり前の文化にするにはどうすればよいか。どのようにして自分がひたすら読み浸ることのできる本を見つけることができるようにしていくか。ひたすら読み浸り続けることのできる環境をどのようにつくっていけばいいのか(アナログでもディジタルでも)。そして生徒が読書家になる道を歩むのに私たちはどのように伴走していけばいいのか。本書はこうした問いに正面から取り組み、教室を読むことが当たり前になる「読む文化」とするための五つの取り組みやすい方法を示した本です。
 一人でも多く読むことが好きな生徒を育てていくことが国語教育の多くの問題(ひいては、学校教育全体)を解決するという著者の強い信念には、一人の読者としてこころ打たれるものがあります。(山元隆春)

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