昭和12年(1937年)5月、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家になる夢を追いかける那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いてほしいというのだ。取材の最中、名古屋にいた女性の足だけが東京で発見されたとの知らせが届く。二都市にまたがる不可解な謎に、那珂少年はどんな推理を巡らせるのか? ミステリ界で話題となった『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』の前日譚が、待望の文庫化!