• Author山田五郎
  • Publisher創元社
  • ISBN9784422701356
  • Publish Date2021年3月

横死

大好評シリーズ「アルケミスト双書」から
『闇の西洋絵画史』篇が登場!
西洋美術の「闇」の側面を浮かび上がらせる、
妖しくも美しい西洋絵画史シリーズ(フルカラー)。
著者は編集者で評論家の〈山田五郎〉。
■著者・山田五郎より
西洋絵画には、
教科書には載せられない「影の名画」もあれば、
逆によく見る名画に「影の意味」が
隠されていることもあります。けれども、
今日の感覚では不健全と思える表現や寓意も、
描かれた背景を知れば納得でき、
見え方が変わってくるはずです。
西洋絵画の本質は、
その最大の特徴である陰影法と同様に、
光のあたる表面だけではなく
闇の側面も見ることで、はじめて立体的に
浮かび上がってくるのではないでしょうか。
■本シリーズの特徴
・1冊1テーマを詳説
・類をみないユニークな切り口
・1冊あたり約70作品を掲載
・コンパクトで瀟洒な造本
・本物の美術の教養に
・ゲームや漫画他、創作のための資料としても
■シリーズ
*第1期:【黒の闇】篇
〈1〉悪魔
〈2〉魔性
〈3〉怪物
〈4〉髑髏
〈5〉横死
*第2期:【白の闇】篇
〈6〉天使
〈7〉美童
〈8〉聖獣
〈9〉楼閣
〈10〉殉教
■まえがき(〈5〉横死)
死や殺人はそれだけでも悲劇であり、
死者の立場や数によっては
歴史的事件にもなりえます。
ゆえに絵画の題材になることも多いのですが、
西洋絵画に描かれる死は、
私たち日本人の目には
ことさら残酷に映りがちです。
その原因は、遠近法や陰影法を駆使して
リアルに描く技術的特性だけでなく、
遺体に対する感覚の違いにも
あるのではないでしょうか。
輪廻転生を信じる仏教では、
遺体は塵と消える魂の抜け殻にすぎません。
ところが肉体の復活を信じるキリスト教では、
人は遺体になってもなお、
その人のままなのです。
いわば遺体にも個性があるわけで、
それが西洋絵画に描かれる死を
ひときわ生々しく見せているようにも思えます。

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