みんなが同じテレビ番組を見て、翌日は学校や職場全体がその番組の話題で盛り上がる。そういう時代がかつてありました。今の世の中はぜんぜん違います。みんなが見るような人気番組がまず、ありません。そもそもテレビは見ないという人も多いです。ネットを見れば、そこには自分の興味や関心に合わせて膨大な数のサイトやサービスがあります。ようするに、みんなバラバラな情報源を持っているのが今の世の中。それは、おのおのが好きな世界を持っている価値観の細分化です。そんな今の時代に、コミュニケーションをするとき、相手がどんな価値観を持っているのか、見極めるのが難しい。そんなに価値観が多くない世界なら、なんとなく見当がつきます。でも、これだけ価値観が細分化してしまうと、初対面の相手の価値観を言い当てるなんて、神経衰弱の1ターン目みたいなものです。まず当たらない。ですからコーチングも大変です。会社で、部下のやる気を引き出したい。チームがうまく行っていないからなんとかしたい。変わりたいと願っているのに、空回りしてばかりの友達の力になりたい。家族との関係をもっとよくしたい。自分自身のやる気を引き出したい、つまり、セルフ・コーチングに興味がある方もいるかもしれません。コーチングは、相手のやる気や行動を引き出すものです。自分がやりたいことだから、モチベーションが湧く。実際に行動できるんです。つまり、やる気や行動を引き出すためには、まずは、「あなたは何がしたいの?」ということを引き出さなければいけないわけです。もちろん、簡単なことではありません。それを、魔法のようにあっという間にやってのけてしまうのが、本書の著者のひとりである平本あきおさんです。平本さんは、日本を代表するコーチングの第一人者です。金メダリストやメジャーリーガー、起業家・経営者など、これまでに約9万人を指導してきました。 山崎拓巳さんも、平本さんのコーチングを長年受けてきたひとりです。彼が体験して、「これはすごい!」と感じた平本式のメソッドを、広く紹介し、読者に体感してもらうことが、この本の目的です。 この本では、平本式のメソッドを、実際に何人かのクライアントとのセッションを紹介しつつ、平本さん自身に詳しく解説してもらうことにします。「平本さんのどこがすごいか」「読者はどこが『わからない』のか」がよくわかります。そんな山崎拓巳が読者目線で質問しつつ、平本さんに解説してもらうことで、本書の使い方のノウハウがわかるようにできています。平本さんのコーチングを体験するためのポイントは、まず、感情と身体の重要性。いわゆる「頭だけで考えたこと」では、人は動けないし、変われません。わかりやすく言うと、「やりたい!」という感情がなければ動けないということです。そして、感情を動かすためには、身体を動かすのが一番ということです。現代のコーチングの第一人者を『やる気スイッチ』の山崎拓巳が解説する最高のコーチング教科書。