東京子ども図書館では、おはなし〓―〓肉声で子どもたちに物語を語って聞かせること―が、読書へのいちばんたしかな、いちばんたのしい道であるという信念のもとに、さまざまな活動を行ってきました。機関誌「こどもとしょかん」に、おはなしに関する評論や記事を数多く掲載してきたのも、その一つです。ここに、これまでに掲載された評論のうち、バックナンバーの要求がもっとも多かった三篇を収録して一冊にまとめました。
・人格形成における空想の意味 小川捷之
・昔話と子どもの空想 シャルロッテ・ビューラー/森本真実訳・松岡享子編
・昔話における“先取り”の様式――子どもの文学としての昔話 松岡享子
語り手たちは、物語そのもののおもしろさとふしぎさ、それを聞く子どもたちの目のかがやきや笑顔に助けられて、活動をつづけています。が、さらに自分たちの語る物語や、語りという営みについて学ぶことは、活動の意義をより深く理解し、活動への意欲を一層高める助けになります。この冊子がそのお役に立つことを願っています。松岡享子