東日本大震災からちょうど10年。津波の被害に遭った被災地の姿をこの10年間、一人で追い続けた写真家・谷口雅彦氏が撮影した15万枚を超える膨大な写真をアーカイブしたドキュメンタリー写真集。
本書では岩手、宮城、福島の3県の被災地を網羅し、それぞれの町がどれほどの被害に遭い、どんなプロセスを経て、どう生まれ変わったのか、
また、その復興や成長のプロセスが町によって別の特徴がある点などが、隅々までピントの合った被写界深度の深い写真でつぶさにわかるような作りになっている。
同じ地点を撮影したカットも収録されている点は、一人で追い続けたからこそ成し得た貴重な写真でもある。
それらのすべてが、報道写真では取られることのなかった、被災地に住む人々と同じ目線、同じ距離感の写真。
作品のクオリティもさることながら、圧倒的な情報量のドキュメンタリーとして資料性の高い一冊となっている。