本書が食生活において提示する大切なことが二つある。一つは体質である。東洋医学の臨床体験から成人を6タイプに、老人、小児、妊婦という特殊な体質を合わせ、全体で9タイプに分類している。二つ目は食材のもつ「寒性」「熱性」「潤性」「燥性」や「旬」などの「自然の属性」。それによって上手な食材の組み合わせ方、個々の体質と食材との相性という重要な個の情報を知ることができ、正しい食養生を自然に身につけられるよう工夫されている。つまり自身の日々の体調を整えていくために、持病を克服していくために、病気にならない丈夫な体をつくり上げていくために、今日から何を食べていけばよいのかがわかる本なのである。 もちろん東洋医学の視点のみではなく、食材ごとに現代栄養学・医学の最新研究成果も紹介し、多面的に食材の特性を紹介することにも努め、食材ごとに「家庭療法への応用」、「栄養素の上手な摂り方」、「家庭で作れる簡単レシピ」の項目も加えて実用性を備えている。 管理栄養士・栄養士育成の教育機関において、本書を指定教材に採用するところもあり、一般書から専門書としての要素までを兼ね備えている。