死に装束を身にまとい、死の一歩手前で恐怖と性の愉悦を深める男女。しかし"あの世への花魁道中"の途中から、ひとり、引き返してきた男がいた-。夫に先立たれ、料亭「浮舟」を切り盛りする若おかみ、結のもとに、浮世絵の版元から三日間の独占予約が入った。使用する客は、中世の伝説的遊女である"地獄太夫"を描いて人気の絵師。しかし、その部屋からは、昼間から奇怪なうめき声ばかり聞こえてくるのだった。遊び人の舅とともに原因解明に乗り出した結は絵師の過去に刻まれた、ある遊女との哀しい性愛の過去を知ることになるのだった。