二〇一一年八月、出版社取締役の菊池は、膵臓がんで余命一年、と宣告された。もはや治療の術もない。妻とは五年前に離婚、娘二人も独立し、海外で暮らしている。生きるも死ぬも一人の身の上の菊池は、運命を受け入れつつも、思索の末に神戸に移り住む。二十年前に知った、ある不思議な女性を探すために。
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