近くの書店で在庫を調べる
  • 著者ティモシー・B.タイソン 廣瀬典生
  • 出版社晃洋書房
  • ISBN9784771034167
  • 発行2021年3月

エメット・ティルの血

“Black Lives Matter”運動の原点
1955年ミシシッピ・デルタで起きた黒人少年殺害事件の真相
いまなおアメリカが囚われている人種分離、白人至上主義が生み出す分断と軋轢を照射する。
1955年の夏、シカゴからミシシッピにやってきた黒人少年は、地元 白人女性に「狼の口笛(ウルフ・ホイッスル)」を吹いたとして「私刑(リンチ)」によって裁かれ殺害された。事件から半世紀以上を経過して沈黙を破った白人女性当人による告白を基に、著者 タイソンンはエメット・ティル殺害事件の真相を追求していく。「黒獣姦魔」から「南部のユリ(白人女性)」を守る」という白人至上主義の神話に込められ、人々の心を縛ってきた南部の歴史と閉鎖社会の欺瞞を炙り出す。 アメリカの根深い人種差別のみならず、事件の背景にある南部の白人男性が黒人から白人女性を守るというエゴイスティックな騎士道精神がどのようにして生み出されてきたのか。「人種」という概念は、白人支配を正当化するために作り出された「虚構」に過ぎず、女性もまた男性のもとで抑圧された生活を強いられた。この南部の歴史と神話がどのように人々の心を縛ってきたのかを考えることで、今日の混迷するアメリカの分断にたいする理解を深めることができる。
訳者あとがきより
 タイソンの『エメット・ティルの血』は、すべてが変化流動する、きわめて不安定な今日のアメリカの中で、エメット・ティル事件を単に過去の歴史としてではなく、常に立ち返り今日の人種問題を深く考える基点としている。本書を通して、アメリカの人種問題の根幹をなす意識の有り様を知ることが、日本における様々な差別・格差問題の根底にある人間の心の動きを今一度深く見つめ直す時間を持っていただくうえで何らかの参考になれば幸いである。

>> 続きを表示

この本を借りた人が、最近借りている本