警視庁捜査一課の「取調室」
“伝説の刑事”と容疑者の息詰まる対決!
「完落ち」とは、全面自供すること。したたかで狡猾な犯罪者と警察はどう戦っているのか。「取調室」という密室での緊迫したやりとりを初めて明らかにした本格ノンフィクションです。
生々しい現場を語るのは、警視庁捜査一課の幹部だった大峯泰廣氏。ロス疑惑、宮﨑勤連続幼女誘拐殺人事件、オウム真理教地下鉄サリン事件など、数多くの大事件の捜査に携わったことから、大嶺氏は“伝説の刑事”と呼ばれるようになり、“落としの天才”として周囲の信頼を勝ち取ります。著者の赤石晋一郎氏は2年以上も大峯氏に取材を重ねました。
大峯氏はいかにして容疑者を落とすのでしょうか。
犯罪者の背景を丁寧に解き明かし、相手の表情をうかがいながらベストのタイミングで、こちらの手の内を明かすテクニックは、まさにプロフェッショナルの技。宮﨑勤事件では、彼が嘘の証言で漏らした「有明」という地名を突破口に自供へと導き、宝石商殺人事件では、元警察官だった容疑者のプライドを刺激する一言で一気に自白へと持ち込みます。
緻密な計画殺人者から、冷血きわまりない殺人犯、愛憎に翻弄された犯罪者まで、刑事と犯人との壮絶な闘いのドラマが次々に展開します。
大峯氏は後年、世田谷一家殺害事件の捜査をめぐる警察上層部の方針に納得できず、定年を前に自ら警視庁を去ることになりました。現場の状況から、大嶺氏にはある“犯人像”が見えていたのです……。大峯氏が職を辞した経緯も、本書で明らかになります。
本書に登場する「殺人事件」
ロスアンゼルス市ホテル内女性殺人未遂事件 1985
ロス疑惑捜査の思わぬ“挫折”が、名刑事の原点にあった
首都圏連続ノックアウト強盗致死事件 1981
「不審死」で処理された遺体。そこにある惨劇が隠されていた。
宝石商強盗殺人事件 1984
退職した“理想の警察官”は、なぜ取調室で激昂したのか。
宮﨑勤 首都圏連続幼女誘拐殺人事件 1989
宮﨑が何気なく口にした地名。その一言に背筋が震えた。
練馬社長宅三億円現金強奪 1990
「証拠を残さないためには皆殺ししかない」。犯人の冷血。
オウム真理教 地下鉄サリン事件 1995
黙秘を貫く“天才信者”を、築地署の屋上に連れ出した。
証券マン殺人・死体遺棄事件 1996
「あいつこそ真のワルだ」。危険な男との取調室の対決。
阿佐ヶ谷女性殺人死体遺棄事件・檜原村老女殺人事件 1997&1998
人を殺めてしまった2人の女性。それぞれの人生ドラマ。
世田谷一家四人殺人事件 2005
問題続出の捜査に絶望した大峯は、ある決断を下す。