歌はあこがれの心から起こるという。
この歌集を読んで思ったことは、そのことだった。あこがれの心がいじらしくてあわれであり、その心が歌集全体を包み、引きこまれるようなよさとなっている
(中略)
配達員!
彼は配達員だという。配達員がうたびとである。配達を書いた歌の節々にいじらしいあこがれの心が疼く。よく配達員になってくれた、と思う。そうでなければ、私は配達員たちの心をずっと知らないで過ごすところだった。
彼が歌を書く配達員だから、人々にそれがわかるのだ。
それでこそ、うたびとだろうと思う。
(草壁焔太 跋文より)