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  • 著者角田泰隆
  • 出版社NHK出版
  • ISBN9784149110387
  • 発行2021年3月

道元『正法眼蔵』をよむ 上

<道元禅師が著した『正法眼蔵』は、非常に難解な書物であり、その難解さに知的関心をもつ人も多いようです。また、道元禅師は厳格な方であり、その厳格さに惹ひ かれるという人もいるかもしれません。
しかし、この講座は〝難しい正法眼蔵〟〝厳格な道元禅師〟というイメージを少しやわらげていただけるものになるのではないかと思っております。
 (中略)
 『正法眼蔵』は実に難しい書物です。おそらく、読者の中には『正法眼蔵』の解読に挑戦した人もいるでしょう。たいがいの人は挫折します。「原文」を読もうと一見して、敬遠する人もいるに違いありません。それでも読んでみようと、いくつか出版されている「現代語訳」を手に取ってみても、現代語訳ですらよくわからないというのが『正法眼蔵』です。しかし私は、よくわからない『正法眼蔵』を「わかりたい」と思い、もうかれこれ四十年以上、親しんできました。そして今でも、よくわからない部分が多々あります。
 そんな私ですが、これまで学んできた中で、『正法眼蔵』の比較的わかりやすい部分を取り上げて、道元禅師の特徴的な、そして魅力的な教えに、みなさんに触れていただきたいと思います。
 この講座では、難解な『正法眼蔵』を学術的に詳細に学ぶというよりも、道元禅師が『正法眼蔵』を書き示して伝えたかったことを、私を通じてみなさんにお伝えいたします。気軽に学んでください。そして、このご縁をきっかけに、みなさん自身が『正法眼蔵』そのものに挑戦していただければと思っております。かつて挫折した方も、もう一度『正法眼蔵』に向き合っていただければと思います。そんな願いをもって、この講座を務めさせていただきます。>(「はじめに」より)
(出版社より)
道元が、「正法の仏法を明らかにしたい」との思いで著した『正法眼蔵』。今年度のNHK宗教の時間では、年間テーマとして『正法眼蔵』を取り上げます。講師は、道元とその著作研究の第一人者・角田泰隆駒澤大学教授。読者を正法と禅の世界に誘います。本書はその上巻です。
*第1回は道元の果たした宗教的な足跡と、『正法眼蔵』成立の経緯とその目的を示します。
*第2回以降では、道元の仏法の真髄をなし、今日の私たちの生き方にも大きくかかわる内容について、『正法眼蔵』のエッセンスを取り上げ、最終的には「悟りの心とは何か」を示します。
*初学者にも親しみやすいように『正法眼蔵』を玩味して、仏教の根本と禅の基本について触れる講座です。
(もくじ=上巻)
・はじめに
・正法眼蔵全体図
・第1回  『正法眼蔵』とは何か
  道元禅師略年譜
・第2回 多様性を認める―「現成公案」の巻
・第3回 存在と時間―「有時」の巻
・第4回 全世界は心―「三界唯心」の巻
・第5回 人生は夢のようなもの―「夢中説夢」「空華」の巻
・第6回 坐禅の心得と作法―「坐禅儀」の巻
*第7回以降は下巻(2021年9月25日発売予定)

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