あの爺様はの、みなに笑うてほしかったのだ――。人生に、そして時代に決着をつけた侍たちの「終活」とは?『一路』『流人道中記』の浅田次郎が贈る、感動の時代小説短篇集。激動の明治維新期。突如「武士」という職業がなくなり、行き場所をなくした岩井五郎治は、遺された孫のために命も誇りも投げ出す覚悟を決める。やがて訪れる最期の時。町人として明治を生きる孫に、五郎治がのこしたある遺品とは。人生、そして時代に始末をつけた、侍たちの物語。表題作ほか全六篇に書き下ろしエッセイを特別収録。