四半世紀の時を経て、あの『情報の歴史』がよみがえる!
1990年に初版、1996年に増補版を発行後、長らく絶版になっていた「情報の歴史」の再増補版『情報の歴史21』を発売します。1995年までの増補版の紙面はそのまま再録し、1996年から2020年にわたる25年の年表と、”情報の文明”と銘打ったこの時代のダイアグラムを追加。巻頭には、監修松岡正剛による序文 ”人新世に突入した「情報の歴史」の光景” を収録しています。
現実と仮想が融け合う今日から未来に生きるすべての人々必携の一冊です。
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いま、人類は新型コロナウイルスという特異な情報体に大いに惑わされている。とはいえ、ウイルスが突如出現したわけではない。ウイルスは人類が登場するはるか昔から、地球上の「生命情報の歴史」の一員であった。
ホモ・サピエンスの出現とともにスタートしたのが「文明情報の歴史」である。
大河の周辺で育まれた古代文明から、文字や楽譜や建物といった文明情報があらわれ、人類はそれらを使って物語や音楽や絵画を表象しはじめる。古代宗教が登場すると、天国や浄土や楽園や地獄といった「想像上のもうひとつの世界=ヴァーチャルランド」が用意され、中世になって道路や市場や学校が誕生すると、「精神の価値」や「物品の価格」によって文明の成果を享受するように発展していく。
それでも農耕や牧畜や漁労による自然界との交流は続いていたが、産業革命あたりをさかいに、動力が機械や電機や電子に代行され、人々は人工的な道具立てのなかで「便利」で「経済的」な日々をおくるようになり、それこそが「進歩的である」と思うようになった。
そこから、資本主義は欲望と競争を連続的に起爆させていった。アスファルトが敷かれ、電線が張りめぐらされ、自動車が走りまわり、いよいよ文明が自然環境を大きく変質させていく。
(以上、松岡正剛 ”人新世に突入した「情報の歴史」の光景” より一部要約)
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