ある日の午後。二度寝を試みようとする僕の携帯電話に一通のメールが届く。差出人は不明。『ボールを集めて願いを叶えよう!』。件名からして胡散臭い。即刻削除すべき迷惑メールであったが、ふと開封してみたい気分に駆られた...。エッセイ集『去年ルノアールで』で“無気力文学の金字塔”を打ち立てた鬼才せきしろによる処女小説。それは、常に自問自答を繰り返す「僕」の「内なる冒険」を追求した異色の“箱庭青春小説”。なんとなくミステリー、ちょっとセンチメンタル、もしかすると冒険、だけど腹立たしいほど文学。いまだかつてこんな小説はなかった。