• 著者梅原猛 著 / 中上健次 著

君は弥生人か縄文人か 梅原日本学講義

近年、特に縄文文化に強い関心を抱き、熊野へも数回実地検証に及ぶ梅原氏が、文字通りご当地出身の、スケールのおおきな、豊かな感性を持つ作家を聴き手に得て、熊野とアイヌという古代の日本文化(神話)から、柳田邦男、宮沢賢治を経て現代にまで及ぶダイナミックな文化論を展開する。王朝人の熊野への郷愁はなぜか。熊野は山人と海人の国、縄文の世界。縄文人の裔、蝦夷・アイヌ。外向・機能・合理の弥生と求心・呪術の縄文。

梅原 7、8世紀のいわゆる大和平野にいる人たちの観念には、もう一つ別の世界がある。それは熊野の世界だ、そこには何かこの世とは違った秩序があって、そして不思議な死と通ずる世界だ……。 中上 それはずーっと、いまでもわれわれにはありますね。記紀時代の記憶がパックされている。……海人と山人のその混淆みたいなのが……。 梅原 佐藤春夫が熊野について書いたのがありますね。それを見ると、やはりまったく熊野は山人と海人の世界なんですよ。……山人的、海人的なものが、平安時代の支配者にとってものすごく魅力をもって蘇ってきた。

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