• 著者矢代 嘉春

黒汐反流奇譚

魚は黒汐に乗ってやってくる。 しかし漁獲物はそんなところにはいない。 栄養塩が渦巻き、餌となるプランクトンや小魚が密集する黒汐反流の中に集まる。 私は漁師だからこそその中でものを考える。 水産学者に漁師を描かせると、豆しぼりの鉢巻き姿となるだろう。 実際は冬ならフランネルで防寒兼用、普通はタオルだ。 しぼりが利いて汐や汗を拭くのに木綿より遥かに快適だからである。 私は漁師、その汐目に浮かんだ海と魚と漁師の世界を描いてみた。

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