日本企業の”変革能力偏差値”はなぜ低いのか?
再生のカギは「現場主義偏重型」から「シン・トップダウン型」への移行にある。
100社以上の企業変革を成功させてきた敏腕コンサルタントが、
デジタル時代に適応しつつ、クリエイティビティを発揮できる
企業変革マネジメントの手法を体系化。
〈本書の主なポイント〉
★日本企業の変革は戦略よりも、実行に難あり
変革における経営層の重要な役割は、プロジェクトの「成功率を高める」、「新陳代謝を高める」ことだが、その実態は経営層からはあまり見えない。
社員はプロジェクトが多くて、深刻な社員不足による疲弊感とやらされ感を持ち、過負荷と低評価によって、思い切ったチャレンジをしなくなってきている。
プロジェクトの中核となる社員のキャパシティ以上の変革はできない。つまり、需要と供給のバランスが必要となる。
★ガラパゴス化した日本企業
20世紀から不採算事業を切り離してポートフォリオを変更し、企業を継続的に変化させる合理的な制度を作ってきた欧米企業に対して、日本企業は、現場の頑張りが一定の成果を出すことで、変えるタイミングを掴めなかった。
そこで形成された社内論理優先、感情論優先の組織文化、形だけ導入された欧米の制度では、デジタル時代を生き抜くことは出来ない。
★社員が駄目なのではなく、力を引き出せていない会社組織になっていることが問題
デジタル時代の変革についていけていない硬直的な会社組織にしているのは、「形式的な完璧主義」「社員のクリエイティビティ軽視」にある。
形骸化している仕組みを軽量化して、変更を前提にした「脱完璧」の仕組みに変えることと、社員が全力を発揮できる可能性を高める環境=「クリエイティビティの雲」を生み出すことで社員の力を引き出すことが求められる。
★過度な現場主義偏重をデジタル時代にあったトップダウンの仕組みに変える
経営層だからこそ出来ることは多い。
思い切った決断(選択と集中、変更、リソースの再配分など)、部門横断でのしがらみの排除、硬直化した会社の仕組みの再構築、ポテンシャルを活かせていない社員の活用、プロジェクトを成功させるプロフェッショナルの招聘など。
今こそ、経営層がDXやニューノーマル、カーボンゼロなどに適応したマネジメントの仕組みを導入する好機である。
★「シン・トップダウン経営」が意味するもの
日本企業が、これまでとは異なるトップダウン型経営に変わることは必然である。「これまでとは異なる」ことを5つの「シン」に託した。
新(ビフォアーCOVID‐19とは異なる新しい経営)
真(机上の空論ではなく、勝ち残るための実践的な経営)
芯(これからの変革の核となる経営)
心(経営層から末端の社員までのココロを動かす経営)
信(経営層と変革リーダーたちの信頼関係に基づいて行動する経営)