マンハッタン計画を主導し原子爆弾を生み出したオッペンハイマーの評伝。多数の資料をもとに、政治に翻弄、欺かれた科学者の愚行と内的葛藤に迫る。
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理論物理学者のロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所初代所長としてマンハッタン計画を主導し、広島、長崎に災厄をもたらした原子爆弾を生み出した。その結果、「原爆の父」と呼ばれるようになるが、彼自身は名声の陰で原爆のもたらした被害、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、その開発に反対の意思を表明していた。本書は、これまでに数多く書かれたオッペンハイマー伝をつぶさに再検討し、その多くに異を唱える。豊富な史料をもとに、彼の足跡を丹念に辿り、政治に翻弄され、欺かれた科学者の実像に迫る。
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【目次】
序
1.優等生
2.救いと物理学
3.美しき日々
4.核分裂連鎖反応
5.ロス・アラモス
6.トリニティ、広島、長崎
7.プルーデンスに欠けた男
8.核国際管理の夢
9.戦略爆撃反対
10.オッペンハイマー聴聞会
11.物理学者の罪
12.晩年
おわりに
文庫版あとがき