終戦前夜の岡山で谷崎潤一郎は牛肉を手に入れ、敬愛する永井荷風を精一杯にもてなした。
森鴎外に憧れていた太宰治の墓は、鴎外の斜め向かいに建てられた。
生涯独身だった深沢七郎は、自分の葬式用に、自らお経をテープに吹き込んだ。
中島敦に太宰治、澁澤龍彦、幸田文、夏目漱石、そして深沢七郎まで。
現代の人気が、26人の昔の作家に会いに行く。親しい人と一緒に、時には一人で。
電車に乗り、最寄り駅で降りて花を買い、ついでに食事処でお腹を満たし、
そしてお墓の前へ。墓の中の人と存分に語り合えば、自分の生き方も見えてくる――
楽しく豊かな墓参り案内&文豪人生ガイド!
(文庫あとがき「世界の文豪お墓まいり記」収録)