電子帳簿保存法(電帳法)は1998年7月に施行され、20年以上の歴史があります。しかしながら、紙中心の日本社会では電子情報に対する信頼性が低く、改ざんや仮装の懸念から厳しい運営要件が求められていたため、利用する企業は一部にとどまり普及しない歴史が続いていましたが、2021年度改正において次元が異なる大幅な要件緩和の改正が行われました。申請承認を必要としていた制度の根幹を届出制度に改め、実施要件についても不正改ざんを防御できるシステムを使えば、それ以外の実施要件を大幅に緩和する改正内容となっています。コロナが終息しても在宅勤務を認めていく会社が多い社会風潮の中、経理がペーパレスで仕事をすることができる環境を望む現場が増えています。その一役を電帳法が担い、2021年度の大幅改正に期待をする声が少なくありません。また、世界中が公約を表明しているカーボンニュートラルの点からもペーパレスや電子化が望まれるところです。電帳法はすべての納税者に関係することから、この改正は会計税務の現場において非常に影響が大きいと推察致します。
日々の経理を行っている方々から、CFO、公認会計士や税理士のような職業専門家に至るまで、本改正について興味をお持ち頂き、本書を手に取って頂ければ幸いです。