読者の中には、書店にずらりと並んだ3D関連の書籍をじっくり見まわして、どれを買おうかと思いあぐねた経験をお持ちの方はいないだろうか。筆者の場合、特定の3Dレンダリングのテーマを扱った本を探そうとして無駄にした時間は数え切れない。どの本も同じ内容の繰り返しといった感じで、特定のテーマに絞って読み手が納得するレベルまで掘り下げたものは見たことがない。書店に3D関連の書籍が毎日1点ずつ増えているような昨今である。しかし、その大半はソフトウェア製品のマニュアルを書き直したものにすぎない。製品マニュアルに書かれていないような点もいくつか書き足してはあるものの、広く浅くといった内容には変わりない。3D関連の本を何冊読んでも、まだ読み足らなさを感じてしまう。これは、筆者と同じような立場の人なら、何度も実感していることだろう。本書を世に出そうと決心したのも、そういった背景があってのことだ。