元デザイナーで小説家の「僕」は、知人友人からよく相談を受ける。「ナッちゃんはそういうの駄目な口やろ」と笑いながら、デザイン学校時代の齢上の同輩、御木さんは奇妙な話を始めた。13歳のとき山崩れで死んだ妹が、齢老い、中学の制服を着て、仕事先と自宅に現れたというのだ。だが彼の話は、僕の記憶と食い違っていた……(「クラス」)。家に潜む【誰か】。祀られたキンゴロー様。夢の中の殺人――。この現実と価値観を揺るがす連作集。<解説 和嶋慎治(人間椅子)>