高齢者虐待は、障害者や児童の虐待とどのように異なるのか。偏見と差別を退けて、高齢者の尊厳を守るためにはどのような視点とチェックリストが必要なのか。本書は、アメリカ・カナダの高齢者虐待研究をふまえて、介護者と要介護者の閉じた世界が虐待を発生させることを精神医学、法律、社会学、臨床医学、看護学、ソーシャルワークをはじめとする複数の専門領域から解明する。公的介護保険の導入に伴い、介護の社会化が急がれているおり、コミュニティケアの哲学にこだわる予防・対策の方法に学ぶ意義は大きい。