東京スカイツリー開業以来、町のにぎわいを増し続ける東京都墨田区。それを支えたのは観光地だけに頼らない独自の地域ブランディングだった。江戸から続く職人技と、世界をリードする最新技術が同居する町へ。奇跡のまちづくりを行ったキーマン48人の証言と10年の歩み、そして未来。
隅田川のほとりに東京スカイツリーが誕生した2012年。以来、東京の東側=「イーストサイド」は、老若男女、様々な人たちでにぎわいを増しています。
その中心地である墨田区は、江戸から職人の伝統が息づき、また近代産業発祥の地でもある「ものづくりのまち」。新旧の感性、地元の人と外から来る人が交差し、固有で、ユニークなカルチャーが生まれています。その進化を加速させたのが、区が一丸となって取り組んできた「すみだ地域ブランド戦略」。つまり町の“ブランド化”です。なかでも大きな役割を担ったのが、約10 年前にスタートした「すみだモダン」ブランド認証事業。職人たちが受け継いできたものづくりの情熱と技術を今の時代に寄り添う形で再編集し、その魅力と価値を新たに発信する取り組みです。
「町おこし」という言葉が盛んに使われるようになり全国の市町村で様々な取り組みが行われるなか、「すみだモダン」は、その町固有の魅力を再発掘する町おこしのお手本として、全国から視察が絶えません。墨田区はどのようにして町のブランド化を成功させたのか。答えは「すみだモダン」を取り巻く10 年の歩みのなかにあります。
江戸から続く職人技、世界をリードする宇宙開発の技術、そして若い世代や外国人を惹きつける新しいカルチャー。それらが渾然一体となって、ユニークな魅力を放つ墨田区。“最先端の下町”が生まれた舞台裏へと、ご案内します。