日本における〈権利〉の思想は、西洋の〈ライト〉の思想とどう異なり、何が通底するか。この問いを糸口に、権利思想の限界と核心に迫る。解説 永井均
===
“right”に「権利」という訳語があてられたとき、そこには特殊日本的な背景が作用し、それ自体が一つの独自な解釈を表すものとなった。「力と利益」の意味を含む日本の〈権利〉の思想は、「正しいこと」を意味する西洋の〈ライト〉の思想とどの程度異なり、また、どの点で共通しているのか。この問いを考察の糸口として、我々が「権利」と呼ぶ思考装置の問題点と限界を明かし、その核心に迫る。福沢諭吉、西周、加藤弘之ら日本の思想家をはじめ、ロック、ドゥオーキン、ロールズ、セン、ニーチェらを導き手とし、理念と力の錯綜した関係を解きほぐした著。
===
「他に類書というものが存在しない
真に画期的な一冊」――永井均(解説)
【目次】
第1章 「権利」という日本語
第2章 利の追求と共同の論理
第3章 〈ライト〉の思想と平等主義
第4章 〈ライト〉の思想と自由の問題
第5章 〈ライト〉の思想と力の論理
第6章 〈ライト〉の思想の問題状況
あとがき
文庫版あとがき
解説(永井均)