あるところに母と娘が営む、小さなマカロンのお店がありました。週に一度の金曜日。6日間閉ざされた店の扉が開きます。
童話の世界をイメージしたアンティークな店内には、たくさんのお菓子。ショーケースに並ぶのは、週ごとに変わる3種類のケーキと、カラフルなマカロン。鼻をくすぐる香ばしい珈琲の香り。でも、その店の一番の魅力は、週に一度その店の扉を開く、魅力的なお客様たちでした。
「海外でカフェで働く」ことだけを決めて、21歳単身で訪れたカナダ。帰国してからの洋菓子店での修行、そしてたくさんのめぐりあい。沖縄市の住宅街にたたずむ人気店「1756’s cafe」の店主が、お店にやってくる人々との交流をやさしい筆致でつづります。なにげない日常にあふれる、まるで映画のような瞬間。働くということや将来の夢、どんな自分でありたいか。そんな問いにやわらかな答えをくれるような一冊。今日も一つのケーキに、一枚のクッキーに、一杯のコーヒーに、与えられた仕事のすべてに。エールを込めて。