ビジネス界出身大使が見たカトリックの聖地
「日本経済の司令塔」経団連に身を置くこと半世紀。土光敏夫ら歴代会長に仕え、生え抜きトップとして事務総長まで務めあげた筆者は突如、世界13億の信徒を束ねるカトリックの総本山に民間大使として赴くことになった。
経団連とバチカン、対極に立った筆者ならではの日常の “気づき”は、資本主義の限界から現代日本の課題まで多岐に及ぶ。地道な人脈作りに始まり、あれよという間に教皇訪日を実現、そしてコロナ禍のなか帰国するまでの1500日。
<土光さんは「過去を振り返るな」「足跡を見るな」と繰り返しおっしゃっていた。それは私にとって座右の銘ともいえる。しかし、本書では、はじめて禁を破って在任1500日間弱のバチカン大使時代を振り返ろうと思う>(まえがき)
【編集担当からのおすすめ情報】
著者は、若くして経団連に入局し、土光敏夫、豊田章一郎、今井敬、奥田碩、御手洗冨士夫ら歴代会長に仕えました。税制にも精通し、1992年、米国上院財政委員会で日本の税制について証言したこともあります。そんな経済界のスペシャリストも、外交経験は皆無。大使に着任早々したことといえば、彼の地を守るスイス衛兵への挨拶回りだったと本書には綴られています。しかし、それが教皇訪日に向けた重要な足がかりとなるのは、本書を読んでのお楽しみ。経団連時代に「土光さんの雷が落ちない唯一の男」と称された著者の「独自外交」は、ビジネスパーソンの参考になるはずです。