紫式部が、藤原道長の娘、中宮彰子に仕えた際の回想録。史書からは窺えない宮廷行事の様子もわかり、道長が全権を掌握する前夜という緊張に満ちた状況下での記述が興味深い。華麗な生活から距離を置く紫式部の心理や、実務をこなせない同僚女房への冷静な評価、ライバル清少納言への辛口批評などが描かれる。精密な校訂による本文、詳細な注、流麗な現代語訳、歴史的事実を押さえた解説で、『源氏物語』の背景を伝える日記のすべてがわかる。
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