心あたたまる江戸人情料理帖、開幕母一人、子一人。かじかむ心をほっこり包む、美人女将のおもてなし!「この子を預かっていただきたいのです」冬の夜、日本橋本船町の料理屋〈梅乃〉に女が現われて告げた。連れていたのは僅か二歳の男の子。三年後、齢二十六の女将冬花は、引き取った子の鮎太を自らの手で育て、平穏に暮らしていた。ところが、冬花が出前を届けたその日に弁当を食べた役者が舞台上で血を吐いて倒れたことから、毒を盛った疑いが〈梅乃〉にかけられ……。