アルゼンチン・ペルー・ブラジル……
かつて沖縄から、多くの人々が南米に渡っていった。
その流れをくむ子孫たちが 沖縄に〈帰って〉きて、どんなふうに暮らし、生きてきたのか。
『彼らは、なぜ日本に、いや沖縄に来たのか。沖縄での生活は、そしてレストラン経営に至るまでのストーリーを聞きたくなった。取材をお願いすると、皆、多忙でありながら、開店前あるいは開店後に時間を取ってくれた。時折スペイン語、あるいはポルトガル語が飛びだすが、日本語と沖縄方言を織り交ぜながら雄弁に語ってくれた。
そこには、ラテンアメリカと沖縄の共通点や違い、家族の強いつながりが見てとれる。また、カルチャーショックを受け、自分の居場所やアイデンティティーに悩みながらも積極的に前に進もうとする姿があった。彼ら、彼女らに共感を覚えると同時に、少しでも多くの人に、その生きる強さを知ってもらいたいと思う。』(はじめにより)
長年、南米日系人の取材を続けてきた著者は、沖縄でレストランを開いた日系人たちにインタビューする。そこで語られたのは、異文化の地でも明るくたくましく生きる人々の姿と、知られざるファミリー・ヒストリーであった。
国や文化が違っても、これは、現代沖縄をかたちづくる、もうひとつの歴史である。