タロットの秘儀化はいかにして生まれ、いかにして解体し、さらに広い文化的事象へと展開していったのか?――黄金の夜明け団やアレイスター・クロウリーによるタロットの扱い、現代において最も流通している「ウェイト=スミス版タロット」の誕生にまつわる経緯など、日本でも関心が高い主題を取り上げ、基本的には遊戯用のカードに過ぎなかったタロットが18世紀末以降、古代以来のありとあらゆる神秘思想を担う図像の集成となり、また人間の運命を見通す占いの道具となった歴史を、世界各地で活動したタロティストたちの人生と思想、社会や思想の動きを織り交ぜながら興趣あふれる筆致で描き出した決定的大著。
◆第Ⅰ部 西洋オカルティズム
第0章 序論
第1章 国際的刷新
第2章 イギリスの継承者たち
◆第Ⅱ部 秘密にされた混合主義(シンクレティズム)
第3章 ルクソールのヘルメス同胞団
第4章 〈黄金の夜明け〉が始まる
第5章 〈黄金の夜明け〉の輝き
第6章 〈黄金の夜明け〉にかかる雲
第7章 〈黄金の夜明け〉の屈折
◆第Ⅲ部 教義の開示
第8章 ウェイトのタロットと秘密の教義
第9章 秘密のチーフたちとクロウリー=ハリス版タロット
第10章 〈黄金の夜明け〉は微光を放ち続ける
◆第Ⅳ部 東に向かうタロティズム
第11章 スイス
第12章 ドイツ
第13章 ロシア
◆第Ⅴ部 様々な学派、様々な規則
第14章 C・C・ザインと〈光の教会〉
第15章 ナップおよびホールと彼らのタロット
第16章 ケースと〈アディトゥムの建設者たち〉
第17章 ブライトン夫妻と〈MANS聖修道会〉
第18章 リンドとその信奉者たち
第19章 ガレス・ナイトと〈光の侍従会〉
◆第Ⅵ部 大衆のための神秘
第20章 イーデン・グレイとウェイト=スミス版タロット
第21章 古い観点への新たな焦点