第166回芥川賞受賞作。ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている。自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。(本書より)気鋭の実力派作家、新境地の傑作。
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