『源氏物語』と双璧をなす平安女流文学の珠玉、『枕草子』。「春は曙」に始まる自然と人生に対する鋭い観察眼、限りない愛着と犀利な批判。独自の感性と文才とが結実した不朽の随筆は、宮廷生活の光と陰を鮮やかに描き出す。本書は、三巻本系統で冒頭に大きな欠脱のない第二類本の弥富本を底本に、詳細な語釈と余説、現代語訳を施す。