国家の役割や主権が議論されるとき、必ずといっていいほど取り上げられる政治学の名著『リヴァイアサン』。しかし、日本では「万人の万人に対する闘争」の部分のみが広く有名になり、ステレオタイプ化されている。専門家によって近年飛躍的に解明されてきた作品後半の宗教論・教会論と政治哲学の関係をふまえて全体の要点を読み直し、従来の作品像を刷新。近代政治を学び平和と秩序を捉え直す、解説書の決定版!
「人間の欲望やその他の情念は、それ自体としては罪ではない」
――近代政治哲学の創始『リヴァイアサン』――
一五八八年、イングランド南西部に生まれたホッブズ。彼は政治権力と教会権力の争いによって内乱が起きるなかで、この問題の処方箋は他国にも通用する普遍的なものと考え『市民論』を執筆。さらに教会権力批判を強めて著したのが『リヴァイアサン』である。
【目次】
序論
第一部 人間について
第二部 国家について
第三部 キリスト教の国家について
第四部 闇の王国について
総括と結論
年譜・文献案内・索引