「生きて帰ってきました。生きて帰ってきたのは奇跡のような話で」
ヨットでの太平洋往復横断を終え、無事日本に帰国したばかりの辛坊治郎氏は、そう切り出した。
一度は試みた太平洋横断。あれから8年の歳月が経ち、彼は再び挑み、そして成し遂げた。
彼を駆り立てた思いとは、いったい何だったのだろうか。
5カ月間もの間、太平洋の真ん中にたった一人、何を思い、考えていたのか。
世の中では定年後の生き方を模索し悩む同世代が多い65歳という年齢で成し遂げた無謀ともいえるこの挑戦を、世の悩める人たちへの勇気をあたえる一冊として、また現代の冒険譚として、この度の太平洋往復横断をリアルに追体験できる一冊として、本人の航海日誌を元に、全編書き下ろしで刊行いたします。
【本書の内容】
まえがき
第一章出航
嵐の夜/ヒロとの遭難/再起動/カオリンⅤ誕生/4月9日/出航/最初の試練/トラブル発生/日本列島南岸を東へ/軽油流出/二度目、三度目の嵐
第二章 洋上
重大な故障/食事/コメ騒動/シャワーとシャンプー/ガスボンベ/メインハリヤード喪失/ウインドベーン/訃報/日付変更線通過/寒さ
第三章 上陸
嵐の後/読書/浸水/飛行機雲/爆死回避/卒業試験/葛藤/入港/サンディエゴ生活/水を巡る騒動/路上生活者に食事を恵まれる
第四章 帰路
貿易風と偏西風/無風での悩み/無風域突入/軽油かガソリンか?/星座/シャンプー/退屈/鳥/ハワイ/パンツ問題/肩痛/日付変更線
第五章
ブロー(突風)/部品落下/座礁危機/最後の試練/エンジントラブル/煩悩/最後の故障/最終決断/エンジン始動/入港
あとがき