高校生の拓哉は、家族5人、海の見える田舎町で仲睦まじく暮らしていた。ある日、看護師である母・明子の献身的な姿を思い出し、拓哉はネット掲示板でヘルプライン『桜の樹の下で』を立ち上げる。そのとき、明子と苦しむ人々に「最後まで寄り添い続ける」約束を交わす。様々な相談者に寄り添う拓哉。そんな拓哉の卒業が近づいた頃、モンスター相談者の少女Aがマンションの屋上から飛び降りようとする。そして、まさにそのとき、あの日が訪れる……。
月日は流れて十年後、拓哉はおにぎり屋ヤッピーで、店主の荒川とバイトのカトウと共に働きながら、耐え忍ぶ日々を送っていた。カトウの謎に触れたその日、ヤッピーでは売上盗難事件が起きて……。七転八倒から明かされるあの日の「空白の10分間」。すべてを知った拓哉がとった行動は――今なお癒えぬ無数の魂に捧ぐ、涙のファミリーコメディ。