エジプトにピラミッドがあるのは知っていても,マヤ文明にもピラミッドがあるのは,知らない人がいるかもしれません。
地中海からインドまで,たった一代で制覇したアレクサンドロス大王や,いくつも王朝が立ったイスラーム帝国など,「なんとなく知っているけれど,くわしいことはわからない」という方に,本書はおすすめです。
世界のあちこちに残る古代の遺跡をたどると,歴史の縦軸と横軸が見えてきます。その地で国が生まれたり,衰退したりする時間の縦軸とよその国が攻めてきたり,ちがう王朝に支配されたりする大陸を横断した勢力の横軸です。
本書はできるだけ,一つの国や文化が,あとに生まれる国や,近隣の諸国とどう影響しあったかを紹介しながら,地域ごとに遺跡を紹介しています。
西アジアで誕生したペルシア帝国の文物が,シルクロードを通って東洋へと伝わっていったり,アラビア半島で生まれたイスラーム帝国が,北アフリカを経由して,ヨーロッパに影響を与えたりしています。それぞれの国や文化は,単体で築き上げたものではなく,互いに影響しあって発展しているのです。遺跡には,そうした痕跡が残されています。
文字も残っていない時期の遺跡から,今日までつづいている国や文化の遺跡まで,ひとつづきの織物のようにつながっている世界の歴史をぜひご堪能ください。