独自の視点で哲学史に取り組んできたドゥルーズは、本書で、カントの3つの主著、『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』の読み直しをはかる。カントの批判哲学が、理性・悟性・構想力という諸能力の組み合わせの変化によって作動する一つの置換体系として描き出され、諸能力の一致=共通感覚に、その体系の基礎が見いだされる。カントを、乗り越えるべき「敵」ととらえていたドゥルーズが、自らの思想を形成するために書き上げたモノグラフィー。平明な解説と用語解説を付す。新訳。