真夜中をとうに過ぎた。やつらがここに到着するまで二時間はかかるだろう。おれはキッチンテーブルの椅子にすわって、ノートに文章をしたためる。アリーというたぐいなき魅力を秘めた娘との出会い、見知らぬ男の死体、白いジャガー、逃亡の旅、そしてオートマティック拳銃――。一人の男の妄執を描き、トリュフォーに愛されゴダール映画永遠の名作の原作となった、犯罪ノワールの金字塔。