排外主義や権威主義、ウルトラナショナリズムにフェイクニュース……それらの根源はどこにあるのか。
ハイエクなど初期新自由主義者たちの論考を辿りながら、世界に吹き荒れる政治言説の布置を問い直す、政治哲学者による批判の書。
「本書の主張は(…)、新自由主義的な合理性や価値づけの様式の影響を受けていないものはないということであり、新自由主義による民主主義への攻撃は、あらゆる場所で法、政治文化、そして政治的主体性を変容させてしまったということだ。(…)白人ナショナリズム的な権威主義的政治の隆盛を、(…)三〇年以上にわたる新自由主義による民主主義、平等、そして社会への攻撃によって形づくられてきたものとして理解することを意味する。」(本書より)
◎目次
序論
反民主主義的な政治の隆盛
新自由主義とは何か?
第一章 社会は解体されなければならない
民主主義、平等、そして社会的なもの
社会は解体されなければならない
今日のハイエク──自由と社会的なもの
ハンナ・アーレントは助けにならなかった
社会的なものの政治的想像領域の喪失
第二章 政治は退位させられなければならない
新自由主義的な反政治
どこでボタンをかけ間違えたのか?
第三章 個人の保護領域は拡大されなければならない
道徳的伝統主義を新自由主義の要素として理論化する
フリードリヒ・ハイエクの伝統論
現実に存在する新自由主義
国民国家を家族そして私企業として描き直す
第四章 表現するウェディングケーキと祈る妊娠相談センター
──新自由主義的法学における宗教の自由と表現の自由
表現するケーキ──〈マスターピース・ケーキショップ対コロラド州市民権委員会〉裁判
祈る妊娠相談センター──〈家族および生命の擁護全米協会(DBA NIFLA)他
対ベセラ(カリフォルニア州法務長官)〉裁判
第五章 白人男性に未来はない──ニヒリズム、宿命論、そしてルサンチマン
ニヒリズムと脱昇華(desublimation)
ニヒリズムとルサンチマン
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