ある日、1羽のカラスに出会った鳥博士。それが、水飲み場でみずから水を出して、飲んだりあびたりすることができる天才的なカラス、グミでした。日本広しといえども、いや世界を見わたしても、みずから水を出せるカラスはそうそういません。博士はわくわくしながら観察を続けます。おどろくような技を見せるグミ。その天才ぶりにおどろく博士。そして観察を続けた博士を待っていたものは……。
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鳥博士のしごとは、いろいろな鳥のことをくわしく調べて伝えること。これまで、カッコウ類がほかの鳥の巣に卵を産みこんで、親鳥に育てさせる「托卵(たくらん)」のひみつや、ハチクマというタカが、2万キロにおよぶ旅で、いつどこを通っているのかをくわしく調べ、発表してきました。そんな鳥博士がある日1羽のカラスに出会います。それが、水飲み場でみずから水を出して、飲んだりあびたりすることができる天才的なカラス、グミでした。日本広しといえども、いや世界を見わたしても、みずから水を出せるカラスはそうそういません。しかもグミがいるのは、博士が住んでいる街からほど近い公園です。博士は貴重な機会にわくわくしながら毎日観察を続けます。おどろくような技を見せるグミ。その天才ぶりにおどろく博士。そして観察を続けた博士を待っていたものは……。
日本を代表する鳥類学者、樋口広芳博士(東大名誉教授・慶應大訪問教授)が2019年に発表した、横浜市内の公園に現れた「水道ガラス」の観察・研究を物語にした絵本です。博士がグミと名付けたハシボソガラスは、野鳥を長年観察・研究してきた樋口博士さえ唸らせる天才的な行動を見せました。博士の貴重な観察と研究を子どもたちに伝え、観察によって発見し、調べ、考える力を養うヒントになればと企画しました。
・ カラスの知能の高さと、カラスの中にもさらに天才的な個体がいることを伝える
・ カラスに対する偏見を排除し、行動を観察する対象として最適であることを示す
・ 公園など市街地の身近な環境でも、世界を驚かせるほどの興味深い観察対象が見つかることを伝える
・ 博士の着眼点、観察や調べる方法、得られた結果の分析など、鳥類学者としての視点や研究の手法をやさしくわかりやすく伝える
・ 博士がこれまで観察してきた「くるみ割りガラス」「置き石ガラス」など「ニュースなカラス」も紹介
・ カラス以外にも、いろいろな鳥がいて、異なるくらしをしていること、よく観察することで博士のように発見できるかもしれないことを伝える
・ 調べ学習や自由研究のヒントになる
カラスの興味深い行動について、もっとくわしく知りたい方には『ニュースなカラス、観察奮闘記』(文一総合出版)をおすすめします。