――「ここは、寄り道!」
佐合理一郎(リイチ)は、言葉できちんと説明できないことやムダがきらいな小学校6年生。成績も優秀、スポーツもピアノもそつなくこなすリイチだったが、親友の準也のようには、将来の目標がもてずにいた。ピアノのレッスンの帰り道、同じ学校の海空良と出会ったリイチ。あきらかにウマがあわないタイプの女子・海空良に連れられてリイチがむかったのは、転校していった中上大智の家だった。4年生のときのある出来事がきっかけで、大智に会いたくないと思っていたリイチだったが、強引な海空良のペースにあわせているうちに、大智とも顔をあわせるようになって……
ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏のちょっとした成長物語。