メディアはウクライナ戦争の非情な現実とその背景を伝え切れたか。日本の国際報道が抱える構造的欠陥を指摘し、激変する世界において果たすべき役割を考える。
二〇二二年二月、ロシアのウクライナ侵攻によって世界は予測不能な激動の時代へと突入した。だがこの戦争の苛烈きわまる現実やその背景を、日本のメディアは的確に伝えられただろうか。「なぜこんな事態が起きたのか」という人々の切実な問いに向き合えただろうか。長年、国際報道の理想と現実の間で格闘してきた第一人者が、ウクライナ戦争によって浮き彫りになった日本メディアが抱えるジレンマを指摘するとともに、激変する世界を前に国際報道が果たすべき役割を考える。