「植村直己冒険賞」受賞の極地冒険家、荻田泰永×「世界で最も美しい本コンクール」銀賞受賞の井上奈奈による絵本。
北極をたった一人で歩く”僕”の一日を描く。
頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇、そして……。
北極を歩く”僕”を追体験できる、命と死を感じる美しい絵本。
たった一人、北極を歩いている。
命を支える道具
食料を積んだソリを引きながら、進んでいく。
氷のきしむ音が遠くでひびく。揺れ動く氷の海。
歩けども、歩けども、足元はながされていく。(本文より)
「環境問題とは数字の問題ではない。命の問題だ。自分の命はもちろん、隣にいる大切な人の命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。ー中略ー北極を冒険することは、生きることだ。そして、死を感じることだ。その死とは、誰かの命であり、いつの日か自分の体も分解されて、空に舞い、風に吹かれて誰かの命にたどり着く。」(巻末エッセイより)