瞬時に暴力と武力で始めることができるのが戦争、だけど平和は、広島の人が膝を交えて作っていくもんだ。被爆者だけが伝承するんでなくて、広島の人はその平和を作っていく、伝えていく義務がある。(バーバラ・レイノルズ)
2021年4月10日、自分の体験を国内外で精力的に語る活動をしてきた岡田恵美子さんが、市民団体WFCの会合への参加中、突然座ったまま椅子から床に倒れ、亡くなった。
被爆者団体に属さず、核兵器廃絶を訴え続けてきた彼女の人生は、「個」のひろしまの戦後史そのもの。
アメリカで、チェルノブイリで、ノーベル平和賞授賞式の現場で、被爆の悲惨さを語るだけではなく、加害者としての視点も持たないと共感しあえないことを知り、学び、広島はもとより、世界に発信し続けた岡田さん。
本書は、その生涯を追います。
<本文中の岡田恵美子さんの聞き取り>
守田葉子
1982年生まれ。広島出身。
中国新聞社記者を経て、現在国連訓練調査研究所広島事務所スタッフ。
<校閲>
叶真幹
1954年、広島生まれ。
広島市職員定年後、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館館長を5年務める。
共著に「ヒロシマを探そう」。