自分の目となり耳となって遠野保の民草の動向を見極め、逐一報告せよ――盛岡藩筆頭家老の密命を受け、御譚調掛として巷間の噂話を蒐集する宇夫方祥五郎。座敷童衆に花嫁装束ののっぺらぼう、火を吐く怪鳥、集まる「ハナシ」は虚実あいまいなものばかり。だが、その裏にはご定法でも義理人情でもいかんともしがたい厄難を祓う渡世の小悪党たちが跋扈していた。大好評巷説百物語シリーズ最新巻!第56回吉川英治文学賞受賞作